鍼灸

鍼の施術は、髪の毛と同じくらいの細い鍼を用いて、全身にある経穴（けいけつ：ツボ）を刺激する施術法です。
鍼先がとても細いため、刺したときの痛みがほとんどありません。

◆経穴とは

経穴はいわゆるツボのことです。
身体に300以上存在するとWHO（世界保健機関）によっても認定されています。
症状や状態に合わせて各経穴への刺激を加えることにより、症状の緩和や治癒力を高める施術となります。

◆鍼の基本的な仕組み

人間の身体には経絡（けいらく）と呼ばれるエネルギーの通り道があり、そのエネルギーが滞りやすい場所に経穴があります。

エネルギーが滞ると、コリや痛みといった不調の原因となることが多いといわれています。
エネルギーの滞った経穴を鍼の刺激によって流れをよくする仕組みになっています。
経穴を点とすると、経絡はそれを通過する線といったイメージです。

灸はヨモギの葉からとれた綿毛を生成して作られる「もぐさ」を利用した、東洋医学的な施術の一種です。

◆灸の仕組み

もぐさをツボや患部に乗せ、火をつけることで温熱効果を局所に与えます。
その結果、血行が促進され、患部の回復を促します。

◆安心してご利用できる施術方法

お灸と聞くと「やけどするのではないか」と心配される方も多いかもしれません。
かつてはわざとやけどを作るような施術法もありましたが、最近では火の加減を調整をしながら行うため、やけどをすることはほとんどありません。
基本的に安心して利用のできるお灸が増えてきたことで、より多くの方に利用していただける施術法となってきています。

東洋医学は西洋医学とは異なり、自己治癒力を高めることに力を注いでいます。

◆自己治癒力とは

自己治癒力とはその名の通り、自分の身体を治す力のことです。
例えば、指先をケガして絆創膏を貼ったとします。
しばらくすると傷口がふさがりますが、それは絆創膏の効能ではなく、自分の身体が持っている治癒力でケガが治るということです。

◆画像ではみえない原因を探す

例えば腰痛を訴えて病院に行ったとします。
しかし、多くの腰痛が原因不明とされることが多いといわれています。（不定愁訴含む）

画像検査などでは原因を見つけにくい場合など、東洋医学では手で触るなど画像に頼らない検査によって、症状の原因をみつけ出します。

鍼には大きく分けて、鍼先でツボを刺激することによって得られる効果と、鍼先を皮下に刺入（しにゅう：刺すこと）することで得られる効果の2つがあります。

◆ツボを刺激することで得られる効果

人体には300を超えるツボがあり（考え方によっては600以上）、それぞれのツボを刺激することで、さまざまな健康効果や美容効果が期待できます。

例えば腰痛の場合、腰はもちろんのこと、足や手にもツボがあります。
つまり、腰痛の原因が腰にあるとは限らないということです。

手をよく使う人の場合は、手のツボを刺激したり、立ち仕事の人の場合は、足のツボを刺激したりすることで、腰痛の改善が期待できます。

◆鍼先を皮下に刺入することで得られる効果

鍼先を皮下に刺入すると、身体はそれを「異物」だと認識し、排除しようとします。
その時、患部に白血球が集まってきます。
白血球には身体から異物を排除する働きがあるため、局所の免疫力を高めることが期待できるのです。

灸は昔から行われている民間療法でもあるのですが、そのメカニズムに関しては、まだまだ分かっていないことが多いのも事実です。
しかし過去の事例と経験則から、以下のような効果が期待できます。

◆温熱効果

もぐさはゆっくりと燃焼するため、時間をかけてじわじわと身体を温めることが可能です。

◆リラクゼーション効果

もぐさにはシネオールと呼ばれる成分が含まれており、燃焼させることでさわやかな香りが生じます。
そのため、リラクゼーション効果が期待できるといわれています。

◆身体のコリを解消する効果

もぐさを筋肉が硬くなっているところに乗せて火をつけると、温熱効果によって筋緊張が緩和してきます。
その結果、身体のコリを解消することにつながります。

当院ではおもに局所への施術を行いたいときに鍼灸を使用します。
患部周囲のツボなどを刺激し、お悩みの改善を図っていきます。

また、鍼灸は痛みやコリだけを改善するのではなく、自律神経の調整をするのにも適しています。
慢性的な疲れや、ほてり、冷え症、むくみなど、幅広い症状に対して改善が期待できます。

「鍼は痛いのではないか」「お灸は熱いのではないか」と心配になる方も多くいらっしゃるかと思います。
しかし、鍼灸が初めてという患者様も、施術中はリラックスしてお休みになられる方が多くなっています。
ぜひ、安心してご来院ください。